ARCHITECTS' concept
窓の方向を考えながら
回遊するプランをイメージしました
建坪70㎡程の旗竿地で隣地が近く、窓を設けることに近隣からの制約も大きい立地です。この設計に至ったのにはクライアントの仕切りのない大きな一体空間にしたいという要望がありました。屋根を支える柱のない構造とし、窓の方向を考えながら回遊するプランをイメージしました。リビングの床下に広い収納を設けて、ダイニングのカウンターとほぼ同じ高さにすることでスキップフロアのようになっています。
敷地は、奥に向かって登って行く丘の中腹で、吹き降ろしてくる風が期待できます。そこで、ダイニングの北西角に壁面開口を設けて、屋根の一番高い頂点に設けた大きな天窓へ風が抜けていくようにしました。この天窓が天井に溜まる熱気を抜いてくれます。光の使い方では陰の中にうつろう光を意識しています。比較的閉じた空間に天窓から注ぐ直射光により、光と陰の明暗がその時々の味わいのあるシーンを生んでくれます。
変形地や狭小地を含め、敷地にはその場所にしかない環境があります。光、風、緑など自然の力を生かしながらその場所とクライアントにもっともふさわしく素直で豊かな建築をつくっていきたいと考えています。その後何度かお邪魔していますが、思っていた以上に良かったのが、キッチンカウンターにコンクリートを使ったことです。油が浸みた跡がいい味を出しています。