ARCHITECTS' concept
家族にとって特別な場所となる
立体路地のようなホール
計画敷地は建て込んだ住宅地の中でありながら、正面の接道側はT字路になっていて、視線が遠くまで抜けていました。東側には長屋の引き込み道路として巾2.5mの空地が確保されています。そこで、この正面に望む路地を、そのまま敷地の奥行きを利用した巾約1.5mの「ホール」につなげることを考えました。ホールには立体的な移動空間をつくり、居住スペースと外部環境とのバッファゾーンとしても機能するよう意図しています。
ホールと居住スペースを隔てる壁は意図的に厚く、外壁と同等な境界面としており、大きな開口部を設けています。ホール側の壁は質感のある外部用左官、床にはタイルを用い、室内でありながらより路地に近い関係となるように仕上げました。旗竿地のように、通りに沿って流れてくる風を正面で受ける立地で、また反対方向に天窓が開くようになっているので、南北どちらの方向からも風を導き入れる風通しの良いホールとなることをイメージしました。
街に接続された立体路地のようなホールには、書斎やピアノ、図書コーナー、洗面、テラスを組み込み、家族にとって特別な場所になるよう留意しました。気がついたら家族が皆ここで思い思いの時間を過ごし、子どもたちが動き回る移動空間と重ね合わされる、明るいテラスでもあり、洗濯物を干す場所や街を見通す展望台にもなるような、暮らしと街が重なる場所です。