ARCHITECTS' concept
直射光を入れずに
明るく開放的な吹抜を実現したい
クライアントである60代の女性と家族にとっての『拠り所』であり、やがては彼女にとって『終の棲家』となるであろう住宅に要望されたのは、大好きな緑に囲まれ、よい意味で高齢者の住宅らしくない、若さと元気を与えてくれる、自分らしい『棲家』でした。1階のオープンな空間で将来的に生活が完結できるよう考慮しつつも、日々のトレーニングとなる適度な段差や階段を敢えて残したバリアフリーではない空間です。プライバシーを確保しつつも、将来的に住人が周囲から孤立することのないように、街に対し適度に開いた窓まわりの設計など、「視線のバリアフリー」の検討には特に時間をかけました。
隣地建物がせまっている為、南面と東面からの採光が難しい敷地の短所を補うよう、建物のまんなかに設けた吹抜を軸に大きなワンルームのような簡潔で自由な空間を目指しています。採光と排熱、通風に天窓は必須と考え、1辺7.2mの正方形の中心に大きな天窓1台を備えた吹抜空間を据え、この明るい「まんなか」を起点に周囲の諸空間の設計を進めて行きました。
オープンハウスの日はあいにくの雨空でしたが、屋内はとても明るく、玄関から入った人たちはみんな驚いていました。晴れの日は屋内に居ながらに青空を眺めることができ、さらに綺麗です。風通しも良く、天窓のサイズも丁度良かったと思います。(夕刻の照度シミュレーションでは吹抜中央部が150ルクス程度となる)