ARCHITECTS' concept 

空間のメリハリと視線の抜け
狭小住宅を広がりのある住まいに

本事例は、延べ床面積が約15坪の狭小住宅です。1階は、主寝室と子供室を配置して回遊性をもたせ、玄関から奥へ進むにつれて床レベルを徐々に下げることで、小さな家でありながら奥行きを感じられるようにもしています。床と机をつなげる、ロフトへのはしごの一部を本棚にするなど、建築と家具を一体化し、小さいスペースの中にも楽しい居場所をたくさん設けました。
 
敷地が都市部の狭小地であれば、視線の抜けを考慮することも重要です。近隣からの視線が気になる窓はできるだけ小さくし、その分、南側に2つの天窓(トップライト)を設けました。天窓からの光を階段を介して2階LDKへと導くとともに、プライバシーを守りながら視線の抜けも確保しています。ロフトに上がれば視線は、天窓(トップライト)を通して遠くまで広がっていきます。

小さな家では犠牲になりがちな水回り空間ですが、勾配天井に開閉する天窓(トップライト)を備えた2階北側の浴室は、それだけでも贅沢な空間となっています。熱と湿気を抜く機能性ももたせ、ロフトとの界壁に設けた小窓を開放すれば、最頂部で熱気などがこもりがちなロフト部分の空気も、浴室にある天窓へ流れるようにしています。
OWNERS' impression 

天窓(トップライト)から、昼は空、
夜は月を眺めています

建替え前は、昼間も電気をつけなければいけないほど暗い家でしたが、今は天窓(トップライト)と南側の大きな窓のおかげで、2階リビングは同じ敷地とは思えないくらい1日中明るい部屋になりました。建替えの際、実は密かに「天窓(トップライト)がほしい」 と思っていたのですが、実際設置してみると、期待以上の快適さです。

目の前に2つの天窓(トップライト)があるロフトは、1日に何度も行きたくなるお気に入りの場所です。日中は空を眺めたり、夜は月を眺めたりしています。浴室の天窓(トップライト)からも光が入るので、リビングに面した扉は開けたままです。浴室の天窓(トップライト)を開けると、ロフトにいても、浴室側にある小窓を通って風が抜けていくのが分かります。家の中に、気持ちのよい場所がたくさんあるんですよ。


photo: 西川公朗